

1. はじめに:あなたも騙されかけた「あの噂」の正体

2026年の春頃、SNSやショート動画で爆発的に拡散された情報がありました。
「高市首相が自動車税の完全廃止を決定した」
ANNニュースのロゴ入りテロップ画像まで添えられ、多くの方が信じてしまったこの情報。しかし、これらはすべて1ミリの事実も含まない完全なデマ(偽情報)でした。
5月も半ばを迎えた今、改めて「何が嘘で、何が本当だったのか」を冷静に振り返ってみましょう。情報を見極める力は、これからも私たちの家計を守る武器になります。
2. デマの解剖:なぜ私たちは信じてしまったのか

巧妙に仕組まれた3つの「心理の罠」
今回のデマがこれほど広がった背景には、発信者の巧妙な計算がありました。
罠その1:権威のすり替え
拡散された偽画像は、2026年4月12日に高市首相が「憲法改正」について語ったニュース映像に、全く無関係な「自動車税廃止」のテロップを合成したものでした。テレビ局のロゴを盗用することで、私たちの「権威への信頼」をハッキングしたのです。
罠その2:愛車家心理の利用
高市首相が70型スープラを愛する「無類の乗り物好き」として知られていることも、デマの説得力を高めました。「車好きの首相なら、13年ルールを壊してくれるはず」という期待感(心理学でいうハロー効果)を逆手に取られたわけです。
罠その3:事実を一滴混ぜる手口
「自動車税は欧州の2〜3倍」「消費税との二重課税」といった長年批判されてきた本当の不満を、嘘の中に一滴だけ混ぜることで、全体の信憑性を底上げしていました。
嘘が「お金」に変わる仕組み

なぜ、これほど手の込んだデマが量産されるのでしょうか。答えはシンプルで、拡散がそのまま現金になるからです。
SNSの収益化プログラムでは、100万ビューで数万円の広告収入が発生します。中には組織的にデマ動画を量産し、月100万円以上を稼ぐ「インプレゾンビ」と呼ばれる業者も存在します。あなたが「本当?」と驚いてシェアした瞬間、その感情は彼らの小遣い稼ぎに利用されていたのです。
3. 【事実確認】2026年4月に「本当に変わったこと」

デマに踊らされている間、実は本物の減税は静かに実施されていました。以下、すでに4月から施行されている内容です。

4. 一方で「変わらなかったこと」:古い車への重課は今も継続

デマの中心にあった「13年超え免税」とは正反対に、古い車への増税ルールは今も淡々と続いています。
13年超え自動車税の早見表
新車登録から13年経過すると、自動車税は普通車で約15%、軽自動車で約20%重課されます。具体的な金額は以下のとおりです。
| 区分 | 排気量 | 13年未満 | 13年経過 |
|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 660cc | 10,800円 | 12,900円 |
| 普通車 | 1,000cc以下 | 29,500円 | 33,900円 |
| 普通車 | 1,000cc超〜1,500cc以下 | 34,500円 | 39,600円 |
| 普通車 | 1,500cc超〜2,000cc以下 | 39,500円 | 45,400円 |
| 普通車 | 2,000cc超〜2,500cc以下 | 45,000円 | 51,700円 |
| 普通車 | 2,500cc超〜3,000cc以下 | 51,000円 | 58,600円 |
| 普通車 | 3,000cc超〜3,500cc以下 | 58,000円 | 66,700円 |
| 普通車 | 3,500cc超〜4,000cc以下 | 66,500円 | 76,400円 |
| 普通車 | 4,000cc超〜4,500cc以下 | 76,500円 | 87,900円 |
| 普通車 | 4,500cc超〜6,000cc以下 | 88,000円 | 101,200円 |
| 普通車 | 6,000cc超 | 111,000円 | 127,600円 |
※2015年4月1日〜2019年9月末日までに新規登録したガソリン車・LPガス車の場合
重量税はもっとエグい

重量税も負けず劣らずキツい増税ぶりです。
- 13年未満(1.5t車):24,600円
- 13年経過:34,200円
- 18年経過:37,800円(初期の約1.5倍)
これは環境負荷を理由とした「買い替え促進」の政策であり、当面緩和される見込みはありません。

何を隠そう、源さんも筋金入りの「13年超え組」です。
我が家のガレージには、1997年式・2500ccのアルファロメオと、2010年式・1000ccのトヨタ車が並んでいます。どちらも、もちろん13年超え。先日届いた納税通知書を開封したときの、あの胸の痛みといったら……。
| 愛車 | 排気量 | 年式 | 納税額 |
|---|---|---|---|
| アルファロメオ | 2,500cc | 1997年式 | 51,700円 |
| トヨタ | 1,000cc | 2010年式 | 33,900円 |
| 合計 | 85,600円 | ||
たった2台で8万5,600円。コンビニの窓口で支払い終えたとき、思わず深いため息が出ました。これがもし新車のときの金額なら、45,000円+29,500円=74,500円で済んでいたはず。差額の約1万1,000円は、まるごと「年式が古いペナルティ」というわけです。
春の税金祭りは、本当に恐ろしいですね……。SNSで「13年超え免税」のデマを見かけたときも、源さんは「そんな話、税制改正大綱に1行も書いてないだろう」と最初から相手にしていませんでした。それでも、納付書を握りしめながら「もし本当だったらなぁ」と一瞬だけ思ってしまった自分は、正直に告白しておきます(笑)。

エコカー減税の延長と「実質的な厳格化」
ちなみに、重量税の軽減措置(エコカー減税)は2028年4月まで延長されました。ただし燃費基準が大幅に引き上げられたため、これまで「免税」だった車種が「50%減税」に格下げされるなど、実質的な負担増となるケースも出てきています。
EV課税の議論も進行中
普及が進んだ電気自動車に対しても、2028年以降に「車両重量に応じた新課税」を導入する議論が進んでいます。ガソリン税を負担せず、かつ車重が重いEVへの課税は、もはや時間の問題と言えるでしょう。
5. 二度と騙されないための「3つの習慣」

今回のデマ騒動から学べる、情報リテラシーの実践テクニックをまとめます。

- 総務省・財務省の「税制改正大綱」(毎年12月に閣議決定)
- 国土交通省の公式発表
- 都道府県の税務課ページ
ここに載っていない減税は、この世に存在しないと考えて差し支えありません。

習慣3:画像・動画の「使い回し」を見抜く
- テレビ局のロゴがあっても、フォントの違和感や画質の粗さに注意
- 古いニュース映像を最新のものとして使い回す手口が頻発
- 登場人物の服装や役職を確認するクセをつける
6. まとめ:賢い消費者として、これからどう動くか

「自動車税廃止」というデマは、私たちが抱く「重税への不満」を、インプレ稼ぎのゾンビたちが料理した結果でした。一方で、環境性能割の廃止と軽油の暫定税率廃止という「本物の減税」は、騒ぎの陰で静かに実施されました。
源さんのように13年超えの愛車を抱えている方は、毎年春に重い納税通知書と向き合うことになります。それでも、愛車との時間はプライスレス。だからこそ、せめて「嘘の情報に振り回されない冷静さ」だけは持っていたいものです。
- 購入時のコストは確実に下がっている:環境性能割ゼロの恩恵は今も継続中です
- 古い車の維持費は増え続ける:13年・18年の壁は厳然と存在します
- 次はEVへの新課税が来る:2028年に向けて情報をウォッチしておきましょう
SNSで流れてくる「衝撃ニュース」には、一度ブレーキをかける習慣を。それが、自分の財布とこの社会を守る、いちばん身近な防衛策なのです。
源さんも、来年の春の税金祭りに向けて、コツコツ準備していきたいと思います……。
クリックしてもらえると嬉しいです。
クリックしてもらえると嬉しいです。