
株高が続くからといって安心するのは危険。老後資金計画でよくある「良くない考え方」と、無理なく続けられる現実的な貯蓄率の考え方を解説します。
〜老後の資金計画で陥りやすい落とし穴3つと、現実的な貯蓄率の決め方〜
もくじ
- はじめに|なぜ老後資金計画は重要か
- 老後資金計画における「良くない考え方」3つ
- 老後資金の現実|3つの選択肢
- 老後資金の目安と「貯蓄率」の考え方
- 年代別の貯蓄率シミュレーション
- 無理なく貯める工夫
- 老後資金を守るための心構え
- まとめ|自分に合った最適な老後プランを考えよう
はじめに|なぜ老後資金計画は重要か
日本は長寿社会です。
平均寿命は男性で81歳、女性で87歳を超え、「人生100年時代」と呼ばれるようになっています。
その一方で、年金だけでは生活が厳しいと感じる人が増えています。
金融庁の報告では「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、実際に必要な金額は人それぞれです。
しかし共通して言えるのは――
「株高に油断して貯蓄を怠ると、老後に大きなリスクを抱える」ということです。
そこで今回は、老後の資金計画で陥りやすい「良くない考え方」と、現実的な「貯蓄率」について解説していきます。
老後資金計画における「良くない考え方」3つ
1:株高が永遠に続くと信じる
2025年現在、アメリカの株式市場は絶好調。
S&P500やNYダウ、ナスダックといった指数が過去最高値を更新しています。
投資を始めたばかりの人は、こう思うかもしれません。
- 株は必ずお金が増える
- この調子なら貯蓄をしなくても大丈夫
- 少しくらい使っても平気だろう
しかしこれは非常に危険な考え方です。
S&P500の過去10年間の平均リターンは約15%でしたが、長期的には年平均10.3%程度です。
つまり「ここ数年はできすぎ」であり、このリターンが永遠に続くことはあり得ません。
楽観的に株高前提で老後計画を立てると、暴落や停滞局面で資金計画が一気に崩れます。
2:インフレを考慮しない
老後に必要な資金を考えるときに忘れがちなのが「インフレ」です。
例えば、株式投資のリターンが10%あったとしても、もし物価が7%上がっていたらどうでしょうか?
一見すると10%のリターンで大きく資産が増えたように感じますが、実際に使える購買力は 10%-7%=3% しか増えていないのです。
これは決して机上の空論ではありません。
日本でも米(お米)の価格がわずか1年で倍になった例があります。
株高で資産が増えているように感じても、その裏で生活必需品やサービスの価格が上がっていれば、思ったほど暮らしは豊かになっていないかもしれません。
同じことは給与にも言えます。
もし給料が2%上がっても、モノやサービスの価格が3%上がれば 実質賃金はマイナス1%。
つまり「名目」では収入が増えていても、生活水準はむしろ下がってしまうのです。
「年金で足りるだろう」「今の生活費を基準に考えれば大丈夫」と楽観視すると、現実のインフレで苦しむ可能性があります。
だからこそ、老後資金を考えるときには「インフレ率」を必ず考慮する必要があります。
「今の生活費が30年後も同じ額で足りる」と考えるのは大きな誤りで、将来の物価上昇を見込んで計画を立てることが欠かせません。
3:老後の生活水準を低く見積もりすぎる
「老後は現役時より生活水準を下げるものだ」と決めつける人もいます。
確かに多少の節約は可能ですが、完全に生活を切り詰めるのは現実的ではありません。
実際、「退職後は現役時代の7〜8割の支出で足りる」 という一般論がよく語られてきました。
しかし最近の研究データでは、この前提が崩れつつあります。
- 退職後の平均支出は 現役時の93〜97%程度 にとどまっている
- 支出を減らしている人は「十分な貯蓄がないために仕方なく減らしている」ケースが多い
つまり、多くの人は「できれば生活水準を大きく落としたくない」と考えているのです。
また、医療費や介護費は年齢を重ねるごとに増えていきます。
さらに、自由な時間を楽しみたいと思えば旅行や趣味への出費も発生します。
「老後だから支出は自然に減るだろう」と安易に考えてしまうと、
実際には現役時とほぼ変わらない生活費が必要になる ことを見落とす危険があります。
だからこそ、老後資金を考えるときは「生活水準を下げる前提」ではなく、
「現役時に近い支出が続く」と想定して計画を立てておく方が安心です。

老後資金の現実|3つの選択肢
老後に現役並みの生活を維持するには、次の3つのどれかを選ぶしかありません。
- リスクを取る
株式などのリスク資産に多めに投資して、リターンで生活費をまかなう方法です。
ただし暴落時には精神的負担も大きくなります。 - 貯蓄率を高める
現役時代から貯蓄を厚くしておくことで、投資リスクを最小限に抑えられます。
堅実な方法ですが、現役時代の使えるお金は少なくなります。 - 長く働き続ける
健康寿命を延ばし、70歳以降も収入を得る選択です。
最近はシニア向けの就労支援も増え、働き方の選択肢は広がっています。
どれを選ぶかはその人次第。
しかし、どの道を選ぶにせよ「準備不足」は致命的です。
老後資金の目安と「貯蓄率」の考え方
今から30年間働いて、引退後の30年間も現役時と同じような支出水準の生活を送る
と考えたとき
具体的にどのくらいお金を貯めて、投資すればよいのかグラフで検証してみます。


グラフ:リベ大YouTubeより引用
大事なことは
- 実質リターンを高く見込みすぎないこと
- 必要な貯蓄率はしっかりクリアすること
- 貯金と投資も貯蓄に入ること(3万円貯金+3万円積立NISA→6万円が貯蓄)
貯蓄率20%を目指す理由
老後資金をつくるうえでの基本は「収入の2割を貯蓄・投資に回す」ことです。
例えば手取り25万円なら、毎月5万円を積み立てるイメージです。
リベ大でも「生活防衛資金を確保したら、収入の2割を投資へ」と繰り返し強調しています。

グラフ:リベ大YouTubeより引用
このグラフ📊はアメリカを前提としたものなのであくまで目安です。
年金の受給額は個人差がありますが、「理想の老後」を計画するうえでの「どんなことを意識すればいいのか」の参考にはなると思います。
是非いろいろとシミュレーションしてみてください。
年代別の貯蓄率シミュレーション
- 20〜30代:まだ時間が味方する。収入の15〜20%を積立投資に回す。
- 40代:教育費などで厳しくても10%は死守。余裕があれば20%へ。
- 50代:老後が見えてくる。可能なら25〜30%に引き上げ。
無理なく貯める工夫
- 家計簿アプリで支出を「見える化」
- 固定費(通信費・保険・サブスク)を見直す
- 積立NISAで投資する(S&P500、 全世界株式オール・カントリー)
これらを徹底するだけで、自然と貯蓄率を高めることができます。
老後資金を守るための心構え
老後資金づくりは「マラソン」です。
短期の株高に一喜一憂せず、インフレや生活水準の変化を見据えて「長期・分散・積立」を心がけましょう。
また、老後も健康で働けるように「投資=お金」だけでなく「健康への投資」も忘れてはいけません。

まとめ|自分に合った最適な老後プランを考えよう
- 株高が永遠に続くと考えるのは危険
- インフレを考慮しないのはリスク
- 老後の生活を過小評価しすぎても後悔する
老後資金を守るには「リスクを取る」「貯蓄率を高める」「長く働く」の3つの選択肢しかありません。
自分に合ったバランスを見つけることが大切です。
たった一度の人生。
悔いのないように、自分に合った資金計画を立てていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が少しでも参考になれば幸です✨