
インデックスファンドを20〜30年積立てた後、どう取り崩すのが正解?4%ルールを使った「定額方式」と「定率方式」をわかりやすく解説。老後資産を減らさず長持ちさせるポイントも紹介します。
〜【増えた資産を使いたいときはどうする?】インデックスファンドの取り崩し方法〜
もくじ
- はじめに
- 1. 引退時の資産残高×4%を「定額」で取り崩す方法
- 2. 毎年の資産残高×4%を「定率」で取り崩す方法
- 3. どちらの方法を選ぶべきか?
- 4. 投資対象の重要性
- 5. 実際の取り崩しをどうやってやるの?
- まとめ:インデックス投資の入り口から出口まで
はじめに
「インデックスファンドで20年、30年とコツコツ積み立ててきたけど、いざ引退して取り崩すとなったとき、どうすればいいの?」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。
インデックスファンドは、積み立てている間は資産が増えていきますが、売却しなければ日々のキャッシュフロー(現金収入)は生まれません。
つまり、老後の生活費や大きな出費に充てるには「取り崩し=売却」が必要になります。
しかし、いざ資産を取り崩すとなると「減っていくのが怖い」「いつまでもつのか不安」という気持ちも出てくるもの。
そこで今回は、できる限り資産を減らさず、安心して取り崩していくための代表的な方法を解説していきます。
特に有名なのが、アメリカの研究「トリニティ・スタディ」などで検証されてきた4%ルール。
取り崩し方法には主に次の2パターンがあります。
引退時の資産残高×4%を「定額」で取り崩す方法
毎年の資産残高×4%を「定率」で取り崩す方法
順番に見ていきましょう。
1. 引退時の資産残高×4%を「定額」で取り崩す方法
まずは「定額方式」です。
例:65歳で引退、資産3,000万円の場合
- 1年目の取り崩し額
3,000万円 × 4% = 120万円 - 2年目の取り崩し額
3,000万円 × 4% = 120万円 - 3年目以降もずっと同じ
取り崩し額は毎年120万円で固定。
つまり、引退時の資産×4%を毎年一定額、取り崩し続ける方式です。
「25年で資産がゼロになるのでは?」という疑問
多くの方が最初に思うのがこの疑問です。
3,000万円の資産から毎年120万円ずつ取り崩すと、
120万円 × 25年 = 3,000万円
となり、「25年で資産がゼロになるのでは?」と考えるのも自然ですよね。
しかし、ここでポイントになるのが「資産を運用しながら取り崩す」という点です。
トリニティ・スタディの研究結果
引退時に3,000万円の資産があり
株式50%・債券50%のポートフォリオを組み
毎年4%を取り崩す
という条件でシミュレーションした場合、
**30年後に資産が残っている確率は95%**とされています。
さらに、資産が減るどころか増えているケースも多く、
例では30年後に資産が2億4,000万円に増えていたという驚きの結果も。
「25年で資産が尽きる」どころか、「30年経っても残高がしっかり残っている」ことがわかります。
この「4%定額取り崩し」は、現在でも有効な考え方として広く使われています。
2. 毎年の資産残高×4%を「定率」で取り崩す方法
次に「定率方式」です。
この方法は、インデックス投資の名著『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> | 日経BOOKプラス』でも紹介されています。
仕組み
毎年、その年の資産残高の4%を取り崩します。
資産残高が多ければ取り崩し額も大きくなり、
資産残高が少なければ取り崩し額も減ります。
つまり、相場に合わせて柔軟に支出が変わるのが特徴です。
期待リターンの考え方
前提条件として、以下のようなシミュレーションがあります。
- 株式の平均リターン:7%
- 債券の平均リターン:4%
- ポートフォリオ:株式50%、債券50%
- 平均リターン:5.5%
ここからインフレ率を1.5%差し引くと、
実質リターンは4%。
つまり、毎年資産残高の4%を取り崩しても、資産は減らない可能性が高いという考え方です。
具体例
資産が5,000万円あれば、毎年200万円を取り崩せます。
インフレや相場変動はあるものの、平均的には取り崩しとリターンが釣り合い、資産を長持ちさせることができるのです。

資産をさらに長持ちさせる工夫
定率取り崩しを行う際には、次のような調整を加えると資産は半永久的に持ちやすくなります。
- ポートフォリオの期待リターンより低めの割合で取り崩す
(例:実質リターン4%なら、取り崩しは3.5%に抑える) - インフレ率を高めに想定しておく
将来の物価上昇を保守的に見積もる。 - 暴落相場では取り崩し額を抑える
相場が戻るまで支出をセーブする柔軟さが大切。
こうした工夫をするだけで、資産はさらに長持ちします。
3. どちらの方法を選ぶべきか?
- 定額方式(引退時資産×4%)
→ 生活費を安定させやすい。毎年同じ額を得たい人に向いている。 - 定率方式(毎年の資産残高×4%)
→ 相場に応じて支出を調整できる人に向いている。資産寿命を長く保ちやすい。
結論から言えば、どちらも正解です。
自分の性格やライフスタイルに合わせて選びましょう。
4. 投資対象の重要性
ここまでの話は、いずれも「米国株・米国社債のインデックスファンド」を前提にしています。
- 株式:S&P500
- 債券:高格付けの米国社債
変な個別株や信用力の低い債券に投資してしまうと、リスクが大きくなり、取り崩しの前提が崩れてしまいます。
さらに、円建てで生活する日本人にとっては為替リスクも考慮が必要です。
一部は日本円建ての債券や現金で持つなど、バランスを意識しましょう。
5. 実際の取り崩しをどうやってやるの?
「売却の手間が大変そう」と思うかもしれませんが、証券会社によっては便利なサービスもあります。
例えば、楽天証券には**「定期売却サービス」**というものがあります。
これを使えば「毎月いくら」「年に何%」という形で自動的に取り崩す設定が可能です。
つまり、4%ルールに沿った資産の取り崩しを手間なく実現できるというわけです。

まとめ:インデックス投資の入り口から出口まで
積み立てて増やす「入口」だけでなく、
取り崩して使う「出口」もセットで考えることが大切。
**4%ルール(定額・定率)**を理解すれば、老後に資産を安心して使えるイメージがぐっと明確になります。
インデックス投資は「積立てて終わり」ではなく、
「積立 → 増やす → 取り崩す → 使う」までが一連の流れです。
今日の話を押さえれば、インデックス投資の入り口から出口まで、基本をしっかりつかめたことになります。
あなたも、自分のライフスタイルに合った「取り崩し方針」を考えてみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。