
バンガードは「今後10年間は株より債券が有利」と警告。米国株の割高感や債券の魅力、推奨資産配分を解説。今こそ投資比率の見直しを。
〜【Vanguardの警告】今後10年間は株より債券がいい❓〜
もくじ
- はじめに
- バンガード社とは?
- バンガードの推奨内容とは?
- なぜ債券なのか?米国株の「割高感」
- 今後10年間のリターン予測
- それでも長期投資では株が優位?
- 未来は誰にも予測できない
- 今こそ投資比率を見直すとき
- 年代別の参考スタンス
- まとめ:結局どうすればいいのか?
はじめに
2025年8月、世界有数の投資信託会社バンガードが投資家にとって耳を疑うような予測を発表しました。
それは「今後10年間は株式より債券のほうが有利になる可能性が高い」というものです。
従来、資産形成の基本とされてきたのは「株式の長期投資」。歴史的にも30年以上の長期では株式のリターンが債券を上回ってきました。しかし、バンガードはあえてこの“常識”に警鐘を鳴らしています。
なぜ今、世界最大級の運用会社が「株より債券」と言うのでしょうか?本記事では、その背景と投資家が取るべき姿勢について解説していきます。
バンガード社とは?
まずは「そもそもバンガードとはどんな会社なのか?」を整理しておきましょう。
バンガード(The Vanguard Group, Inc.)は、1975年にジョン・C・ボーグル氏によって米国で設立された世界最大級の資産運用会社です。
2024年時点での運用資産は9兆ドル(約1,400兆円)超にのぼり、ブラックロックと並んで世界の投資市場をリードしています。
バンガードの特徴は以下の通りです。
- インデックス投資のパイオニア:世界で初めて個人向けインデックスファンドを提供
- 低コスト運用:信託報酬が業界最低水準で、個人投資家にやさしい
- 独自の経営形態:投資家が実質的なオーナーとなり、利益を還元する仕組み
とくに有名なのが、低コストで米国株に投資できる「S&P500 ETF(VOO)」や「全米株式ETF(VTI)」。
世界中の個人投資家が利用しており、その発表や見解は市場に大きな影響を与えます。
だからこそ、今回の「今後10年は株より債券が有利」というレポートは、単なる予測ではなく、投資家が真剣に向き合うべきシグナルだと受け止められているのです。

バンガードの推奨内容とは?
バンガードが発表したレポートの要点は以下のとおりです。
- 推奨資産配分:株式30%、債券70%
- 理由:米国株が割高であり、債券の魅力が増している
- 10年間の年率リターン予想
米国株:3.3〜5.3%
債券 :4.0〜5.0%
これまで投資の“黄金比率”とされてきた「株式60%・債券40%」から大きく債券寄りにシフトしているのがわかります。
なぜ債券なのか?米国株の「割高感」
バンガードがこのような予測を出した最大の理由は、米国株が歴史的に見ても割高水準にあるという点です。
1. シラーPER(CAPE比)
株価が企業の利益に比べてどの程度割高かを示す指標です。
現在の数値は1929年、2000年、2021年と同等の水準。
これらはいずれも株価がピークを打った年で、その翌年には大きな下落が起こりました。
2. 株式リスクプレミアムの低下
通常、株式はリスクを取る分、債券より高いリターンが期待できるはずです。
しかし現在はその差(リスクプレミアム)が過去最低レベルまで縮小しており、「株に投資するメリット」が乏しくなっています。
3. バフェット指数(株式時価総額 ÷ GDP)
有名投資家ウォーレン・バフェットが重視する指標です。
100%前後が適正とされるのに対し、米国株は200%近くまで上昇。明らかに「バブル的」な割高感を示しています。
これらの複数の指標が、共通して「米国株は高すぎる」と警告しているのです。

今後10年間のリターン予測
バンガードは独自の「Vanguard Capital Markets Model(VCMM)」を用いてリターンをシミュレーションしています。
注目すべきは、株式のほうがリターン予測が低く、リスク(変動幅)は大きいという逆転現象が生じていることです。
債券のほうが「安定した利益」を期待できるとされているのは、まさにこの点にあります。
それでも長期投資では株が優位?
バンガード自身も「投資期間が30年など長期であれば、株式が債券を上回る可能性がある」としています。
つまり、今回の警告はあくまで「今後10年間」に焦点を当てたものであり、30年スパンで見れば株式優位の歴史は揺らいでいません。
若い世代にとっては、「むしろ割安な局面が来れば積極的に株を買うチャンスになる」とも言えます。
未来は誰にも予測できない
ここで大切なのは「予測は予測にすぎない」という点です。
バンガードであれ他の運用会社であれ、未来の株価を正確に当てることはできません。
歴史を振り返れば、著名なエコノミストや金融機関の予測も外れることのほうが多いのが現実です。
だからこそ、「バンガードが株より債券を推奨しているから、すぐに債券に乗り換えよう」という短絡的な判断は危険です。
今こそ投資比率を見直すとき
大事なのは「市場が好調な今こそ、自分の投資比率を点検する」ことです。
株価が下落してから慌てて比率を変えるのでは遅すぎます。
むしろ株価が好調で投資家が利益を出しているときにこそ、冷静に見直すことが大切です。
- 株価が10%下がったら、どのくらいの損失になるか?
- 20%、30%、40%下落したとき、自分は耐えられるのか?
この問いに答えられない状態で株を買い増しているなら、リスクを取りすぎているかもしれません。
年代別の参考スタンス
バンガードの警告を踏まえ、年代ごとに参考となる考え方を整理してみます。
- 20〜30代(若年層)
投資期間が長いため、株式比率を高めにしても良い。ただし割高な局面では無理に買いすぎず、暴落時に買える余力を残すことが重要。 - 40〜50代(中堅層)
まだリスクを取れるが、将来の資金需要も見えてくる世代。株と債券のバランスを見直し、資産全体の安定性を意識することが大切。 - 60代以降(退職間近〜リタイア層)
大きなリスクを取るべき時期ではない。生活資金を守るためにも、債券や現金比率を高めにし、株式はサテライト的に持つのが安心。

まとめ:結局どうすればいいのか?
バンガードは「今後10年は株より債券が有利」と予測している
背景には米国株の割高感と債券の利回り改善がある
しかし未来は誰にも予測できない
大切なのは「自分のリスク許容度に合った資産配分」を持つこと
市場が最高値を更新している今だからこそ、自分の投資比率を冷静に見直すチャンスです。
「株式が暴落してから考える」のでは遅すぎます。
最後に問いかけます。
👉 あなたのポートフォリオは、10%、20%、30%下落したときにも冷静でいられる設計になっていますか?
👉 今の投資比率に、あなた自身が心から納得していますか?
この問いに向き合うことこそ、個人投資家が取れる最良の戦略だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が少しでも参考になれば幸いです✨