
〜「みんなで大家さん」「ヤマワケエステート」も…不動産クラファンの分配遅延・破産リスクを徹底解説〜
不動産クラウドファンディングで償還遅延や破産が相次ぐ実態を解説。投資家が知るべきリスクと安全に投資するための具体的ポイントを紹介します。
もくじ
- もくじ
- はじめに
- 不動産クラウドファンディングとは?その特徴と人気の背景
- 人気の背景
- トラブル続出!実際に起きた事例
- なぜトラブルが起きるのか?
- 法律上の問題点と今後の改善課題
- 改善すべき課題
- 運用が順調なクラファン事例と意義
- 不動産クラファンの意義
- 個人投資家はどう備えるべきか?
- まとめ
はじめに
近年、少額から不動産投資ができる手段として注目を集めているのが「不動産クラウドファンディング」です。インターネットを通じて1万円や10万円から投資でき、銀行預金や株式投資に代わる新しい資産形成の手段として人気が高まっています。
しかしその一方で、実際には「償還遅延」や「分配遅延」、さらには「運営会社の破産」といったトラブルが相次いでいます。
本記事では、**なぜ不動産クラファンでトラブルが続出しているのか?個人投資家はどう行動すべきか?**を、具体例とともに深掘りしていきます。
不動産クラウドファンディングとは?その特徴と人気の背景
特徴
不動産クラウドファンディング(以下、不動産クラファン)は、インターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を取得・運用し、賃料収入や売却益を分配する仕組みです。
主な特徴は以下の通りです。
- 少額投資が可能:1万円~10万円程度から投資できる。
- 短期間の運用:数か月~1年程度で償還される案件が多い。
- 利回りが比較的高い:年利4〜8%を謳う案件が目立つ。
- 案件ごとに選択できる:オフィス、住宅、ホテル、商業施設など投資対象を選べる。
人気の背景
- 不動産投資への憧れ
「不動産オーナーになりたい」という心理的欲求を、少額で満たせる。 - 低金利環境
銀行預金では利息がほぼゼロ。利回り5%前後を掲げる不動産クラファンは魅力的に映る。 - インターネットの利便性
スマホ一つで口座開設から投資まで完結でき、若い世代にも広がった。
こうして不動産クラファンは急成長しましたが、投資家の期待に水を差すようなトラブルも次々と発生しています。

トラブル続出!実際に起きた事例
1. ヤマワケエステート – 償還遅延問題
元サッカー日本代表 本田圭佑氏が広告塔を務めて話題になりましたね⚽️
関西を拠点に急成長したヤマワケエステートでは、一部案件で償還遅延が発生しました。
投資家が期待していた配当や元本が予定通りに戻らず、不安が広がっています。
背景には、再開発事業や大型プロジェクトへの過剰投資が指摘されています。計画通りに売却が進まず、資金繰りが悪化したことが原因とみられます。
2. ダイムラー・コーポレーション – 破産
沖縄県の物件のファンドを運用中でしたね。
かつては不動産クラファン業界で存在感を示していたダイムラー・コーポレーション。
しかし資金繰りが悪化し、破産手続きに至りました。
運営会社が破産すると、投資家の資金はほとんど回収できません。これは「運営会社リスク」の典型例であり、不動産クラファンに潜む最大のリスクを浮き彫りにしました。
3. みんなで大家さん – 分配遅延
少額から誰でも大家さんになれる金融商品として有名。
「利回り7%以上」をうたい、多くの投資家から資金を集めていた「みんなで大家さん」。
しかし、度々分配遅延が発生し、投資家への不信感を招いています。
利回りの高さをアピールする一方で、実際の資金運用に透明性が乏しく、金融庁からも度々行政処分を受けてきました。
なぜトラブルが起きるのか?
1. 高利回りに依存したビジネスモデル
「年利7%」や「利回り10%」といった数字は魅力的ですが、その裏にはリスクが隠れています。
不動産価格が下落したり、入居が埋まらなければ、すぐに資金繰りが苦しくなります。
2. 運営会社のリスク
クラファンでは投資家が直接不動産を保有するのではなく、運営会社を通じて間接的に保有します。
そのため、運営会社の経営が不安定になれば、投資家の資金も巻き込まれます。
3. 法律・規制の未整備
不動産クラファンは「不動産特定共同事業法(不特法)」に基づきますが、
株式や投資信託のように厳しい開示義務はありません。
結果として、投資家は「本当にその不動産が健全に運用されているのか」を知るすべが限られています。
補足:超有名人が広告塔をやっていても投資の成否にはまったく関係ありません。笑
一般論としては、有名人が広告塔を務めていたらむしろ怪しんだ方がいいです。
なぜか?そういう人を使わないと売れない投資商品ということだからです。
法律上の問題点と今後の改善課題
法律上の問題点
- 情報開示が緩い
運営会社が提供するのは簡易な資料のみ。第三者鑑定や詳細な財務状況は必ずしも開示されない。 - 投資家保護が弱い
株式市場のように金融庁の監視が厳格でないため、トラブルが起きてから行政処分が下るケースが多い。 - 倒産リスクへの備えが不足
信託保全が十分でなく、会社が破産すれば投資家資金が消失するリスクが高い。
改善すべき課題

運用が順調なクラファン事例と意義
もちろん、すべての不動産クラファンが危険というわけではありません。
例えば、CREAL(クリアル)やOwnersBookなどは、比較的堅実な案件を扱い、運用実績を積み重ねています。
これらの会社は以下の特徴を持ちます。
- 透明性のある情報開示
- 都市部の安定した物件に投資
- 信託銀行を介した資金管理
不動産クラファンの意義
- 不動産投資の裾野を広げた:従来は富裕層しかできなかった不動産投資を一般層にも開放。
- 資金調達の新しい形:不動産業者がクラウドで資金を集め、地域開発やリノベーションに活用できる。
つまり、不動産クラファンには社会的な意義があり、正しく運用されれば投資家・事業者双方にメリットがあります。
個人投資家はどう備えるべきか?
1. 高利回り案件に飛びつかない
利回りが高いほどリスクも高い。年利5%前後が現実的な目安。
2. 運営会社の信頼性を確認
過去の実績、行政処分歴、資本金の規模などを調べる。
3. 分散投資を徹底する
クラファンはあくまで資産の一部に。NISAやiDeCoといった制度を優先する。
4. 情報開示が不十分な案件は避ける
「数字だけを強調して中身が見えない案件」は危険信号。
5.では、どうしたら良いのか?
私個人の意見としては、不動産クラファンはやらない方がいいと思っています。
こんなに未成熟な業界、リスクリターンの見合わない商品に「みんなの大切なお金を預けてはいけない!」
株式インデックス・国債ファンド・REITなど、不動産クラファンよりも良い選択肢が他にもたくさんあります。
「限られた投資資金」を大事に使っていきましょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、少額で不動産投資を体験できる画期的な仕組みです。
しかし現状では、ヤマワケエステートの償還遅延、ダイムラー・コーポレーションの破産、みんなで大家さんの分配遅延など、トラブルが相次いでいます。
制度の未整備や情報開示の緩さを背景に、個人投資家が大きなリスクを背負わされているのが実情です。
👉 投資家にできることは「冷静にリスクを見極めること」。
👉 国や事業者には「透明性と投資家保護の強化」が求められます。
「少額だから大丈夫」と軽く考えず、資産運用の基本はあくまで 長期・分散・低コスト であることを忘れないようにしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が参考になれば幸いです。