iDeCo改正法案が成立。掛金の上限アップ、加入年齢の70歳まで延長、受給開始「5年ルール」が「10年ルール」に変更。新NISAとの使い分けも解説。
もくじ
- iDeCo(イデコ)とは?おさらい
- 【改正ポイント①】掛金の上限がアップ
- 【改正ポイント②】加入年齢が70歳まで延長
- 【改正ポイント③】「5年ルール」から「10年ルール」へ
- 【変更なし】60歳まで引き出せないルール
- iDeCoと新NISA、どっちを優先すべき?
- iDeCo改正で得をする人・しない人
- 改正を踏まえた賢い活用法
- まとめ
この記事でわかること
iDeCo改正法案のポイント
何がどう変わるのか
新NISAとの優先順位
どんな人にメリットがあるか
注意点と上手な活用法
はじめに
2025年、iDeCo(個人型確定拠出年金)改正法案がついに成立しました。
「老後資金の強力な制度」として注目されてきたiDeCoですが、今回の改正は利用者にとって大きな転機になります。
結論からいうと、
掛金の上限がアップ
加入できる年齢が70歳まで延長
受給開始年齢に関わる「5年ルール」が「10年ルール」に変更
という3つの大きな改正が実施されます。
ただし、60歳まで引き出せない制限は変わらないため、「使い勝手の良さ」では新NISAの方が優先です。
この記事では、初心者にもわかりやすく、改正内容のポイントと賢い活用法を解説していきます。
iDeCo(イデコ)とは?おさらい
まずは制度の基本をおさらいしておきましょう。
✅ 毎月掛金を拠出し、自分で運用商品を選び、
✅ 60歳以降に年金や一時金として受け取れる制度です。
メリットは大きく3つ。
掛金が全額所得控除 → 節税効果が高い
運用益が非課税 → 通常なら20.315%課税がゼロ
受け取り時も控除がある → 公的年金控除や退職所得控除
まさに「税制優遇のかたまり」といえる制度ですが、デメリットは
原則60歳まで引き出せない
商品ラインナップは限られている
手数料が必ずかかる
という点です。
この「引き出せない縛り」が最大の特徴であり、メリットとデメリットの両面を持ちます。
【改正ポイント①】掛金の上限がアップ
これまでのiDeCoは職業や年金制度の種類によって掛金上限が決まっていました。
会社員(企業年金なし) → 月2.3万円
会社員(企業型DCあり) → 月2万円
※各月の企業型DCの掛金額と他制度の掛金相当額と合算して、55,000円が上限です。
公務員 → 月1.2万円
自営業者(国民年金第1号) → 月6.8万円
※国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料と合算した金額です。
今回の改正では、掛金上限の引き上げが実施されます。
会社員(企業年金なし) → 月6.2万円
会社員(企業型DCあり) → 月6.2万円
※企業年金のある会社員・公務員は他制度の掛金相当額と合算しての金額です。
公務員 → 月6.2万円
自営業者(国民年金第1号) → 月7.5万円
※国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料と合算した金額です。
特に会社員や公務員の上限が上がり、利用できる人のメリットが拡大します。
なぜ上限アップなのか?
背景には「老後資金2,000万円問題」があります。
国の年金だけでは不十分なので、自助努力で資産形成する仕組みを強化するためです。

【改正ポイント②】加入年齢が70歳まで延長
これまでは「iDeCoに加入できるのは65歳まで」でした。
改正後は 一定要件の下で70歳まで加入可能 になります。
メリット
定年後も働く人が増えている現代にマッチ
50代後半から始めても、税制優遇を活かせる期間が延びる
例えば、65歳まで働いている人なら、これまでは掛け金を拠出できるのは残り5年でした。
70歳まで拠出できるなら、老後資金の積み増しが可能になります。
【改正ポイント③】「5年ルール」から「10年ルール」へ
これも重要な改正点です。
これまでは「受給開始年齢の上限を選ぶとき、受給開始から最長5年間の幅しか選べない」=5年ルール でした。
改正後は、
受給開始年齢の幅が10年に拡大。
つまり、60歳から75歳までの間で、受け取り開始時期を柔軟に調整できるようになります。
メリット
「働きながら受け取る」戦略が立てやすい
公的年金の繰下げ受給と組み合わせやすい
税金・社会保険料をコントロールできる
デメリット
これは裏技つぶしの改正だから
一部の人には不利になる内容
今までは、iDeCoの一時金受け取り、5年後に会社の退職金受け取りのさい、退職所得控除がどちらにも適用される"5年ルール"が存在していました。
簡単にいうと、受け取り時の税金を大幅に減らせることができました。これが2回も使えてとても節税できてたんです。
ところがこの5年という期間が改正によって10年に延びてしまったことによって、60歳でiDeCoの一時金を退職所得控除を使って節税できますが、65歳で会社からの退職金を受け取るさい、退職所得控除が使えずに多額の税金を払う羽目になってしまいます。
対策としては
①退職時期を70歳にして
60歳iDeCo受け取り→70歳退職金受け取りにする
②iDeCoは一時金で受け取らず年金で受け取る
(退職金は普通に受け取る)
③そもそもiDeCoにかける金額を減らす
※節税効果が見込みづらくなるから
ただでさえ難しいiDeCoの出口戦略がますます難しくなってしまいました。
【変更なし】60歳まで引き出せないルール
ここがとても重要です。
どんなにお金が必要でも、iDeCoは60歳になるまで引き出せません。
このルールは今回の改正でも変わりません。
一方、新NISAならいつでも売却・引き出し可能です。
そのため「資産形成の順序」としては、
まず新NISAをフル活用
余力があればiDeCoも活用
というスタンスが基本です。

iDeCoと新NISA、どっちを優先すべき?
ここで多くの人が気になるのは「結局どっちを優先するの?」という点。
結論はシンプルです👇
流動性(自由度)を重視するなら → 新NISA
節税メリットを最大化したいなら → iDeCo
具体的には、
20〜40代 → 生活資金や将来の出費も多い → 新NISA優先
50代以降 → 老後資金の確保が目的 → iDeCoも積極活用
iDeCo改正で得をする人・しない人
得をする人
高所得者(所得控除の節税メリットが大きい)
65歳以降も働き続ける人
老後資金を計画的に積み上げたい人
あまり向かない人
今後大きな出費がありそうな人(教育費・住宅など)
自営業で流動性を確保したい人
投資経験が浅く、途中で不安になって解約したくなる人
改正を踏まえた賢い活用法
まず新NISAを埋める
非課税枠が広く、自由度が高いため最優先。
・NISA枠だけで年間360万円、トータルで1,800万円あるので、これだけでも十分。
余裕があればiDeCoも追加
特に節税効果を狙える高所得層におすすめ。
受給時期を戦略的に決める
「10年ルール」を使い、公的年金・退職金とのバランスを取る。
出口戦略を意識する
受け取り時の課税(退職所得控除・公的年金控除)を計算に入れること。
まとめ
2025年のiDeCo改正法案で、制度は大きく使いやすくなります。
✅ 掛金の上限がアップ
✅ 加入できる年齢が70歳まで延長
✅ 受給開始の「5年ルール」が「10年ルール」に変更
❌ 60歳まで引き出せない点は変更なし
したがって、戦略としては
新NISAを最優先
余力があればiDeCoを追加で活用
が正解です。
(無理のない範囲で、賢く利用していきましょう。)
iDeCoは「強制的に老後資金を積み立てられる制度」として優秀ですが、自由度は低いです。
・iDeCoの掛金いくらにするのが最適か?
・いつ・どうやって受け取るのが最適か?
個人によって大きく変わるので
自分のライフプランに合わせて、制度を上手に使い分けていきましょう。
専門家に、相談することも視野に入れておくと更に万全。
最後まで大切な時間を使って読んでいただき
ありがとうございました✨
